Story Intro

The Story of Chérierobe

はじまりの物語

それは、ある日の午後のお話。

ふしぎな世界への扉が、そっと開かれます。

あしたは、たのしみな日。
女の子は、新しくできたおともだちと、
はじめて いっしょに あそぶ 約束をしています。
けれど、ひとつだけ なやみごとがありました。
「どんな お洋服を きていこう……?」

鏡のまえに立っても、
どれも なんだか ちがう気がします。
「わたしに ぴったりの かわいい お洋服って……
どんなのかしら?」

そうつぶやきながら、
いつしか 女の子は ベッドの上で うとうと 眠ってしまいました。
ふと 目をひらくと、
まぶしい光と 花の香りがします。
リリコワンダーランドの 街の広場に、
小さなお店が ぽつんと 立っていました。
“Chérierobe”

金色の看板が、やわらかく 光っています。
ドアをあけると、チリン……と ベルが鳴りました。

Chérierobe Shop

お店の中は、まるで 宝石ばこのよう。
レースや ボタン、リボン、糸巻きが、
いろんな色で きらきら 光っています。

その奥で、やわらかな グレーの毛並みの ねこが ほほえんでいました。
首もとには 真っ赤なリボン。
目があうと、やさしい光が ふんわりと 広がりました。
「いらっしゃい。」

Cat Standing

女の子は うつむきながら 答えました。
「どんな お洋服を きたらいいか わからなくて。」
シェリーさんは 少し笑って、首のリボンに 手をそえました。
「“すき”は ちゃんと あなたのなかにあるのよ。」

その手が すこし動くと、
首もとのリボンが ふわりと ほどけました。
赤いリボンは ひとりでに 空中にうかび、
やわらかく まいはじめました。
くるくる、くるり。

すると、お店の レースや ボタンたちが
いっせいに きらりと 光りました。
ボタンが ころころ。レースが ひらり。
それらは 光の軌跡を 追いかけながら、
ワードローブの中へ はいっていきます。

Cat and Magic

やがて 扉のすきまから、やわらかな 光が もれました。
シェリーさんが そっと ドアをひらくと——
そこには、“すき”の気持ちが そのまま 形になったような、
お洋服が 立っていました。

女の子は 目をまるくして つぶやきました。
「これ…… わたしの?」
シェリーさんは にっこり ほほえみました。
「ええ。これは あなたの“すき”が つくった お洋服よ。
“かわいい”ってね、ほんとうは、じぶんの“すき”の中にあるの。」

光が ふんわり まぶしくなって——
気がつくと、女の子は 自分の部屋の ベッドに いました。
まどの外は、やわらかな 午後のひかり。
いすの上には、
夢の中で 見た あの お洋服が かかっていました。

女の子は そっと それを まとい、
にっこり ほほえみました。
「好きな気持ちは、あなたの いちばん 素敵な かたち——。」

女の子は うれしそうに うなずき、
おともだちのもとへ 小さく 手をふって 出かけていきました。

Fin

The Wardrobe

物語の続きは、クローゼットの中で。

クローゼットを開ける